きりぎりす夜半の衣の薄き上に
いたくは霜の置かずもあらなむ
- 歌の意味
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こおろぎよ、お前の夜中の衣は薄いのだから、その上にひどく霜が置かないでほしいものだ。
- 鑑賞
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秋歌 255
詞書「長月の夜蟋蟀の鳴くを聞きてよめる」
陰暦九月の夜、こおろぎの鳴くのを聞いて、その薄い夜の衣の上にひどく霜が置かないでほしいと願った歌である。寒さの迫る晩秋に、小さな虫の身を思いやる優しい心が表れている。
なお参照した底本の本文では二句に欠字があり、字数から「の」を補って「夜半の衣の」と解した。
初句「きりぎりす」は、呼びかけの対象としてのこおろぎを示す。
二句「夜半の衣の」は、夜中に着る衣のの意で、こおろぎの羽を衣に見立てている。
三句「薄き上に」は字余りで、薄いその上にの意である。
四句「いたくは霜の」は、ひどく霜がの意である。
結句「置かずもあらなむ」の「なむ」は他に対する願望で、置かないでいてほしいと願う。本巻の第百九十七首の「鳴かずもあらなむ」と同じ言い回しである。本巻の第二百三十一首では作者自身の「夜の衣薄し」を嘆いたのに対し、本歌ではこおろぎの夜の衣の薄さを思いやっており、人と虫とで対をなしている。
ながつき:陰暦九月
よは:夜中
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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きりぎりす鳴く夕暮の秋風に 我さへあやな物ぞ悲しき
- 次の歌
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野辺見れば露霜寒しきりぎりす 夜の衣の薄くやあるらむ