秋を経て忍びもかねに物ぞ思ふ
小野の山辺の夕暮の空
- 歌の意味
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秋を幾度も経て、こらえることもできずにもの思いにふけることだ。野の山辺の夕暮れの空を眺めて。
- 鑑賞
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秋歌 260
詞書は前の歌に続き「山辺眺望といふ事を」
幾たびもの秋を経て、もはやこらえきれずにもの思いにふけってしまうと詠んだ歌である。野の山辺の夕暮れの空を眺めることで、年ごとに積もった秋の物思いがあふれ出るさまを描いている。
類従本では二句と三句に異同がある。
初句「秋を経て」は、秋を幾度も過ごしての意で、積み重なった年月を示す。
二句「忍びもかねに」は、こらえることもできずにの意である。
三句「物ぞ思ふ」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結び、字余りとなり、ここで句切れとなる。本巻の第二百五十八首の「我ぞもの思ふ」と同じく、強いもの思いを表す。
四句「小野の山辺の」は、野と山の辺をいう。前の二首に続き、題の「山辺」を詠む。
結句「夕暮の空」は体言止めで、もの思いを誘う夕暮れの空を最後に示す。前歌の第二百五十九首の「夕べの空」を受け、山辺眺望の三首が夕べの空で結ばれている。
しのぶ:こらえる、我慢する
をの:野。「を」は接頭語
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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暮れかかる夕べの空を眺むれば 木高き山に秋風ぞ吹く
- 次の歌
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秋田守る庵に片敷く我が袖に 消えあへぬ露の幾夜置きけむ