秋田守る庵に片敷く我が袖に
消えあへぬ露の幾夜置きけむ
- 歌の意味
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秋の田を守る仮小屋で、ひとり寝のために敷いた私の袖に、消えきらない露が幾夜置いたことだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 261
詞書「田家露」
秋の田を守る仮小屋でひとり寝をする自分の袖に、消えきらない露が幾夜置いたことだろうと詠んだ歌である。粗末な小屋に夜ごと置く露と、ひとり寝の涙とを重ね、田家の秋の寂しさを描いている。
『後撰和歌集』の天智天皇の「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露に濡れつつ」に通じる趣がある。底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では結句の字句が異なり、参照した底本の本文では異文が並んで見えるため、先に掲げられた「いくよおきけむ」に従った。
初句「秋田守る」は、秋の田を鳥獣から守るの意で、本巻の第二百四十六首の「山田守る」と同じく田の番の暮らしを示す。
二句「庵に片敷く」の「片敷く」は、自分の衣の袖だけを敷いて寝ること、すなわちひとり寝をいう。
三句「我が袖に」は、ひとり寝の自分の袖にの意である。
四句「消えあへぬ露の」は、消えきらない露のの意で、字余りとなる。
結句「幾夜置きけむ」は、過去推量の「けむ」で、幾夜置いたのだろうかと推し量る。本巻の第二百二十一首の「幾夜の秋の露か置きけむ」と同じく、幾夜も置き続けた露を詠んでいる。
かたしく:自分の衣の片袖だけを敷いて寝る、ひとり寝をする
いほ:草木で造った粗末な仮小屋
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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秋を経て忍びもかねに物ぞ思ふ 小野の山辺の夕暮の空
- 次の歌
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かくてなほ堪へてしあらばいかがせむ 山田守る庵の秋の夕暮