秋ならでただおほかたの風の音も
夕べはことに悲しきものを
- 歌の意味
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秋でなくとも、ありふれた風の音でさえ、夕べはことさらに悲しいものなのに。
- 鑑賞
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秋歌 265
詞書「夕秋風といふことを」
秋でなくても、ありふれた風の音でさえ夕べにはことさら悲しく聞こえるものなのに、まして秋の夕べの風はどれほど悲しいことかと詠んだ歌である。言葉には表さない秋の夕風の悲しさを、言いさしの形で深く感じさせている。
初句「秋ならで」は、秋でなくての意である。
二句「ただおほかたの」は、ただ普通のの意で、前歌の第二百六十四首の初句「おほかたに」と同じ語を用いている。
三句「風の音も」は字余りで、風の音でさえの意である。
四句「夕べはことに」は、夕方はとりわけの意で、題の「夕」を表す。
結句「悲しきものを」の「ものを」は詠嘆を込めた接続助詞で、言いさしの形で、まして秋の夕風はと余情を残す。前歌が秋の夕暮れを自分ひとりのものと詠んだのに対し、本歌では秋に限らぬ夕べの風の悲しさから秋の夕風の悲しさを思わせ、一般と特別とで二首が対をなしている。
おほかた:普通であること、ありふれていること
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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おほかたに物思ふとしもなかりけり ただ我がための秋の夕暮
- 次の歌
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玉垂れの小簾のひま漏る秋風は 妹恋ひしらに身にぞしみける