玉垂れの小簾のひま漏る秋風は
妹恋ひしらに身にぞしみける
- 歌の意味
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玉垂れの簾の隙間から漏れ入る秋風は、妻が恋しくてならない私の身に、ひときわしみることだ。
- 鑑賞
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秋歌 266
詞書「秋の歌」
簾の隙間から漏れ入る秋風が、妻を恋しく思う身にはひときわ深くしみると詠んだ歌である。室内に忍び込む秋風の冷たさに、離れている人への恋しさを重ねている。
『万葉集』の「君待つと我が恋ひ居れば我が屋戸の簾動かし秋の風吹く」に見える、簾を動かす秋風に人を待つ心を重ねる趣を思わせる。なお参照した底本の本文では三句の末と結句に欠字や異文があり、三句は定家所伝本の「あきかせは」によって補い、結句は異文「しみつる」と並んで見える本文のうち、定家所伝本と同じ「しみける」に従った。類従本では三句に異同がある。
初句「玉垂れの」は、玉を垂らして飾った簾の意で、「小簾」にかかる枕詞である。
二句「小簾のひま漏る」は、簾の隙間から漏れ入るの意である。巻第二の第百七十三首でも玉すだれの隙間を通す風が詠まれ、夏の終わりに秋の近づきを告げた簾越しの風が、本歌では恋しさを募らせる秋風となっている。
三句「秋風は」は、簾越しに吹き入る秋風をいう。
四句「妹恋ひしらに」は、妻が恋しくてならないのでの意である。
結句「身にぞしみける」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結び、秋風が身にしみることを詠嘆する。
たまだれの:玉を垂らして飾った簾の意で、「小簾」にかかる枕詞
こす:すだれ
いも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
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秋ならでただおほかたの風の音も 夕べはことに悲しきものを
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秋風はやや肌寒くなりにけり ひとりや寝なむ長きこの夜を