月清み秋の夜いたく更けにけり
佐保の川原に千鳥しば鳴く
- 歌の意味
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月が清らかなので、秋の夜はたいそう更けてしまった。佐保の川原で千鳥がしきりに鳴いている。
- 鑑賞
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秋歌 270
詞書「月の歌とて」
月が清らかに澄んでいるので、つい見とれているうちに秋の夜がすっかり更けてしまい、佐保の川原では千鳥がしきりに鳴いていると詠んだ歌である。万葉風の大らかな調べで、月夜の川原の澄んだ情景を描いている。
類従本では詞書を「秋歌」とする。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。『万葉集』の「ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く」に通じる趣がある。なお参照した底本の本文では三句の頭に欠字があり、字数と語の続きから「更けにけり」と解した。
初句「月清み」は、月が清らかなのでの意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。次歌の第二百七十一首の三句も同じ「月清み」である。
二句「秋の夜いたく」は、秋の夜がたいそうの意である。
三句「更けにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、ここで句切れとなる。次歌の「秋の夜いたく更けにけるかな」とほぼ同じ語句で、二首が月夜の更けを詠み並べている。
四句「佐保の川原に」は、本巻の第百八十一首と同じ佐保の川原で、秋部の初めに秋の初風の吹いた川原に、本歌では千鳥が鳴いている。
結句「千鳥しば鳴く」の「しば」は、しきりにの意である。
ちどり:チドリ科の鳥。水辺にすみ、群れて鳴く
しばなく:しきりに鳴く
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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住吉の岸の松吹く秋風を 頼めて波のよるを待ちける
- 次の歌
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天の原ふり放け見れば月清み 秋の夜いたく更けにけるかな