行きめぐりまたも来て見む故郷の
宿守る月は我を忘るな
- 歌の意味
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あちこちを巡り歩いて、またここへ来て見よう。古里の家を守っている月よ、私を忘れないでおくれ。
- 鑑賞
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秋歌 276
詞書「故郷月」
旅を巡り歩いて、またいつかここへ来て見ようと思い、古里の家を守るように照らしている月に、私を忘れないでくれと呼びかけた歌である。人の住まなくなった古里の宿を見守る月に、再訪を約して親しみを寄せている。
類従本では詞書を「月をよめる」とし、雑部に収める。なお参照した底本の本文では二句に欠字があり、字数と語の続きから「またも来て見む」と解した。
初句「行きめぐり」は、あちこちを巡り歩いての意である。
二句「またも来て見む」の「む」は意志を表し、またここへ来て見ようと言い、ここで句切れとなる。
三句「故郷の」は、古くから人が住み、今は荒れた里をいう。
四句「宿守る月は」は、家の番をするように照らす月はの意で、月を宿の番人に見立てている。前歌の第二百七十五首で主のいない宿に住みついた月を、本歌では宿を守る月として詠んでいる。
結句「我を忘るな」の「な」は禁止の終助詞で、私を忘れないでくれと月に呼びかける。
もる:番をする、守る
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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浅茅原主なき宿の庭の面に あはれ幾夜の月はすみけむ
- 次の歌
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大原やおぼろの清水里遠み 人こそ汲まね月はすみけり