大原やおぼろの清水里遠み
人こそ汲まね月はすみけり
- 歌の意味
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大原の朧の清水は、人里から遠いので人は汲みに来ないが、月だけは澄んだ光を映して住みついていることだ。
- 鑑賞
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秋歌 277
詞書は前の歌に続き「故郷月」
大原の朧の清水は人里から遠いので、汲みに来る人はいないが、月だけはその水に澄んだ光を宿して住みついていると詠んだ歌である。人の訪れない清水と、そこに変わらず宿る月とを対比し、閑寂な山里の美しさを描いている。
類従本では詞書を「月をよめる」とし、雑部に収める。
初句「大原や」の「や」は詠嘆の間投助詞で、山城国の大原を示す。
二句「おぼろの清水」は、大原にある名高い泉で、「おぼろ」の名が月の光と響き合う。
三句「里遠み」は、人里が遠いのでの意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
四句「人こそ汲まね」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「ね」で結び、逆接で下へ続く。人は汲まないけれどもの意となる。
結句「月はすみけり」の「すみ」は、月の光が澄む意と、月が住む意を掛けた掛詞である。前歌の第二百七十五首の結句「月はすみけむ」と同じ掛詞を用い、そこでは推量で、本歌では「けり」と気づきの詠嘆で結び、人の去った宿と人の訪れない清水に住む月を詠み並べている。
おほはら:山城国(今の京都市左京区)の地名。隠棲の地として知られる
おぼろのしみづ:大原にある名高い泉
すむ:月の光が澄む意と、月が住む意を掛ける
くむ:水をすくい取る
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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行きめぐりまたも来て見む故郷の 宿守る月は我を忘るな
- 次の歌
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わくらばに行きても見しが醒井の 古き清水に宿る月影