たまさかに見るものにもが伊勢の海の
清き渚の秋の夜の月
- 歌の意味
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せめてたまさかにでも見ることのできるものであってほしい。伊勢の海の清らかな渚に照る、秋の夜の月よ。
- 鑑賞
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秋歌 279
詞書「海辺月」
伊勢の海の清らかな渚に照る秋の夜の月を、せめてたまさかにでも見ることのできるものであってほしいと願った歌である。遠く離れた伊勢の海辺の月の美しさを思い描き、見ることのかなわない景への憧れを詠んでいる。
類従本と定家所伝本では三句に異同がある。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「たまさかに」は、たまに、まれにの意である。前歌の第二百七十八首の初句「わくらばに」と同じ意の語で始まり、二首がともにまれにでも見たいという願いを詠んでいる。
二句「見るものにもが」の「もが」は願望の終助詞で、見ることのできるものであってほしいの意となり、ここで句切れとなる。
三句「伊勢の海の」は字余りで、伊勢国の海をいう。本歌から第二百八十二首までの四首が「海辺月」の題で、海辺の月を詠む。
四句「清き渚の」は、清らかな波打ち際のの意である。
結句「秋の夜の月」は体言止めで、本巻の第二百七十四首と同じ結句である。
なぎさ:波打ち際
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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わくらばに行きても見しが醒井の 古き清水に宿る月影
- 次の歌
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伊勢の海や波にたけたる秋の夜の 有明の月に松風ぞ吹く