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塩竈の浦吹く風に秋たけて
まがきが島に月傾きぬ

歌の意味
塩竈の浦を吹く風のなかで秋はたけなわを過ぎ、籬が島に月が傾いてしまった。
鑑賞
秋歌 282

詞書は前の歌に続き「海辺月」
 陸奥の塩竈の浦を吹く風のなかで秋も深まり、籬が島のあたりに月が傾いたと詠んだ歌である。陸奥の名高い歌枕を舞台に、秋の深まりと夜の更けとを、風と月とで大きく捉えている。
 賀茂真淵はこの歌に二つの合点を付している。定家所伝本では四句を「まがき島に」とする。

 初句「塩竈の」は、陸奥国の歌枕である塩竈の浦をいう。
 二句「浦吹く風に」は、浦を吹き渡る風にの意である。
 三句「秋たけて」は、秋が盛りを過ぎて深まっての意で、本巻の第二百八十首の「たけたる」と同じ語を用いている。
 四句「まがきが島に」は、塩竈の浦に浮かぶ島をいう。
 結句「月傾きぬ」は、本巻の第二百一首、第二百三十首と同じ結句で、「ぬ」は完了の助動詞である。伊勢、須磨に続いて陸奥の塩竈を詠み、海辺の月の四首を月の傾きで締めくくっている。

しほがま:陸奥国(今の宮城県塩竈市)の浦。歌枕
まがきがしま:塩竈の浦にある島
たく:盛りを過ぎる、深まる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
須磨の海人の袖吹き返す潮風に うらみて更くる秋の夜の月
次の歌
さざ波や比良の山風さ夜更けて 月影寂し志賀の唐崎