- 歌の意味
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比良の山から吹き下ろす風のなかで夜が更けて、月の光が寂しく照らしている、志賀の唐崎よ。
- 鑑賞
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秋歌 283
詞書「名所秋月」
近江の比良の山から吹き下ろす風のなかで夜が更け、志賀の唐崎を照らす月の光が寂しいと詠んだ歌である。琵琶湖のほとりの名所を舞台に、山風と月光とが織りなす秋の夜の寂寥を描いている。
賀茂真淵はこの歌に合点を付し、次歌と合わせて、俗人が思いつくような技巧をすべて省き、末をあっさりと言い放っていると評している。定家所伝本では四句に異同がある。
初句「さざ波や」は、近江の琵琶湖のほとりの地名にかかる枕詞で、「や」は詠嘆の間投助詞である。
二句「比良の山風」は、琵琶湖の西岸にそびえる比良山から吹き下ろす風をいう。
三句「さ夜更けて」の「さ」は接頭語で、夜が更けての意である。本巻の第二百三十八首などと同じ語である。
四句「月影寂し」は、月の光が寂しいと言い切り、ここで句切れとなる。
結句「志賀の唐崎」は体言止めで、琵琶湖西岸の名所を最後に示す。本歌から第二百八十五首までの三首が「名所秋月」の題で、近江、信濃と名所の月を詠む。
さざなみや:近江の琵琶湖のほとりの地名にかかる枕詞
ひら:近江国(今の滋賀県)の琵琶湖西岸の比良山
しがのからさき:近江国(今の大津市)の琵琶湖西岸の地。歌枕
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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塩竈の浦吹く風に秋たけて まがきが島に月傾きぬ
- 次の歌
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月見れば衣手寒し更級や 姥捨山の峰の秋風