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久方の月の光し清ければ
秋のなかばを空に知るかな

歌の意味
月の光がことさら清らかなので、今が秋のなかばであることを、空を見て知ることだなあ。
鑑賞
秋歌 286

詞書「八月十五夜の心を」
 陰暦八月十五夜の月の光がことさらに清らかなので、今が秋のちょうどなかばであることを、空を仰いで知ったと詠んだ歌である。暦によらず、月の光の清らかさそのものによって仲秋の名月を感じ取っている。
 類従本では詞書を「八月十五夜」とする。

 初句「久方の」は「月」にかかる枕詞である。
 二句「月の光し」の「し」は強意の副助詞で、月の光こそがの意となる。
 三句「清ければ」の「ば」は已然形に付いて原因を表し、清らかなのでの意となる。
 四句「秋のなかばを」は、秋のちょうど中ほど、すなわち陰暦八月十五日をいう。
 結句「空に知るかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、空を見て知ることだと結ぶ。前の名所の月に続き、本歌では暦の上で最も名高い仲秋の月を詠んでいる。

なかば:中ほど。ここでは秋の中ほどの八月十五日
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
山寒み衣手薄し更級や 姥捨の月に秋更けしかば
次の歌
秋たけて夜深き月の影見れば 荒れたる宿に衣打つなり