秋たけて夜深き月の影見れば
荒れたる宿に衣打つなり
- 歌の意味
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秋も深まって、夜更けの月の光を見ていると、荒れ果てた家で衣を打つ音が聞こえる。
- 鑑賞
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秋歌 287
詞書「月前擣衣」
秋が深まった夜更けに月の光を眺めていると、荒れ果てた家から衣を打つ砧の音が聞こえてきたと詠んだ歌である。月光と砧の音とで、晩秋の夜の寂しさを目と耳の両方から描いている。
定家所伝本では結句に異同がある。なお参照した底本の本文では二句の頭に欠字があり、定家所伝本の「よふかきつきの」によって補った。
初句「秋たけて」は、秋が盛りを過ぎて深まっての意で、本巻の第二百八十二首の三句と同じ語である。
二句「夜深き月の」は、夜更けの月のの意である。
三句「影見れば」は、月の光を見ているとの意である。
四句「荒れたる宿に」は、荒れ果てた家にの意である。
結句「衣打つなり」の「なり」は音による推定で、砧の音によって衣を打っていることを知る。本歌から第二百九十一首までの五首が擣衣を詠み、本巻の第二百八十九首も同じ結句である。
きぬた:布をやわらげ、つやを出すために槌で打つ台。またそれを打つこと
たうい:衣を砧で打つこと。擣衣
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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久方の月の光し清ければ 秋のなかばを空に知るかな
- 次の歌
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さ夜更けてなかば更けゆく月影に 飽かでや人の衣打つらむ