夜を寒み寝覚めて聞けば長月の
有明の月に衣打つなり
- 歌の意味
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夜が寒いので目が覚めて聞いてみると、長月の有明の月のもとで、衣を打つ音が聞こえる。
- 鑑賞
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秋歌 289
詞書は前の歌に続き「月前擣衣」
夜の寒さにふと目を覚まして耳を澄ますと、陰暦九月の明け方の空に残る月のもとで、衣を打つ砧の音が聞こえてきたと詠んだ歌である。寒さに目覚めた夜明け前の静けさの中に響く砧の音で、晩秋の夜の寂しさを描いている。
この歌は『風雅和歌集』に入集している。定家所伝本では初句を「夜を長み」とする。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「夜を寒み」は、夜が寒いのでの意で、名詞と「を」に形容詞の語幹と「み」が続いて理由を表す形である。
二句「寝覚めて聞けば」は、目を覚まして聞くとの意である。本巻の第二百六十八首の「秋の寝覚め」に続き、寝覚めの夜を詠む。
三句「長月の」は、陰暦九月のの意で、秋の終わりの月を示す。
四句「有明の月に」は字余りで、夜明けの空に残る月をいう。前歌の第二百八十八首の夜半過ぎの月が、本歌では有明の月となり、夜の深まりから明け方へと時が移っている。
結句「衣打つなり」の「なり」は音による推定で、本巻の第二百八十七首と同じ結句である。
ながつき:陰暦九月
ありあけ:夜が明けても空に月が残っていること、またその月
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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さ夜更けてなかば更けゆく月影に 飽かでや人の衣打つらむ
- 次の歌
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み吉野の山下風の寒き夜を 誰ふるさとに衣打つらむ