濡れて折る袖の月影更けにけり
まがきの菊の花の上の露
- 歌の意味
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露に濡れながら菊を手折る袖に映る月の光も、夜更けの光になってしまった。垣根の菊の花の上に置く露よ。
- 鑑賞
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秋歌 292
詞書「月夜菊花を手折るとて」
月夜に菊の花を手折ろうとして、花の上の露に袖を濡らしているうちに、袖に映る月の光もすっかり夜更けのものとなったと詠んだ歌である。菊と露と月光とを一つの袖に集め、晩秋の夜の清らかな情景を描いている。
この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。類従本では詞書を「月夜菊の花を折るとて」とする。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「濡れて折る」は、露に濡れながら菊を折るの意である。本巻の第二百十七首で露に濡れても女郎花を折ろうとした心と同じく、露に濡れて花を手折る姿を詠む。
二句「袖の月影」は、濡れた袖に映る月の光をいう。
三句「更けにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、ここで句切れとなる。本巻の第二百七十首の三句と同じ句である。
四句「まがきの菊の」は、垣根に咲く菊のの意である。本歌から第二百九十四首までの三首が菊を詠む。
結句「花の上の露」は字余りの体言止めで、袖を濡らした露を最後に示す。
まがき:竹や柴などで作った目の粗い垣根
つきかげ:月の光
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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ひとり寝る寝覚めに聞くぞあはれなる ふしみの里に衣打つ声
- 次の歌
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露を重みまがきの菊の干しもあへず 晴るれば曇る村雨の空