露を重みまがきの菊の干しもあへず
晴るれば曇る村雨の空
- 歌の意味
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露が重いので、垣根の菊の花は乾く間もない。晴れたかと思うとまた曇る、にわか雨の空であるよ。
- 鑑賞
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秋歌 293
詞書「雨の降れるに庭の菊を見て」
雨の降るなか庭の菊を見ると、露の重さに垣根の菊は乾く間もなく、晴れたかと思えばまた曇るにわか雨の空が続いていると詠んだ歌である。定まらない晩秋の空模様と、雨露に濡れ続ける菊の姿を重ねている。
類従本では詞書を「雨の降れる夜菊を見てよめる」とする。類従本と定家所伝本では結句を「宵の村雨」とし、参照した底本の本文ではこの異文が並んで見えるため、注記に照らして「村雨の空」とした。
初句「露を重み」は、露が重いのでの意で、名詞に「を」と形容詞の語幹と「み」が続いて理由を表す形である。
二句「まがきの菊の」は、垣根に咲く菊のの意で、前歌の第二百九十二首の四句と同じ句である。
三句「干しもあへず」は字余りで、乾かしきることもできないの意である。
四句「晴るれば曇る」は、晴れたかと思うとまた曇るの意で、晩秋の変わりやすい空模様を示す。
結句「村雨の空」は体言止めで、ひとしきり降ってはやむにわか雨の空を示す。前歌では月夜の菊の露を、本歌では雨の菊の露を詠み、月と雨とで二首が対をなしている。
まがき:竹や柴などで作った目の粗い垣根
ほす:乾かす
むらさめ:ひとしきり強く降ってはやむ雨、にわか雨
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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濡れて折る袖の月影更けにけり まがきの菊の花の上の露
- 次の歌
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ませの内に夜置く露やいかならむ 濡れつつ菊の移ろひにける