佐保山のははその紅葉千々の色に
移ろふ秋は時雨降りけり
- 歌の意味
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佐保山の柞の紅葉がさまざまな色に移り変わってゆく秋は、時雨が降っていたのだなあ。
- 鑑賞
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秋歌 295
詞書「佐保山の柞の紅葉時雨ぬるといふことを人々に詠ませしついでによめる」
「佐保山の柞の紅葉時雨ぬる」という題を人々に詠ませた折に、作者が詠んだ歌である。佐保山の柞の紅葉がさまざまな色に移り変わってゆく秋には、それを染める時雨が降っていたのだと気づき、紅葉と時雨の関わりを詠んでいる。
類従本では詞書の字句がやや異なる。時雨が木の葉を染めるという考え方は、古くから和歌に詠まれた。なお参照した底本の本文では二句に欠字があり、字数から「の」を補って「ははその紅葉」と解した。
初句「佐保山の」は、大和国の佐保山をいい、柞の紅葉の名所として詠まれた。
二句「ははその紅葉」は、コナラなどの柞が色づいた紅葉をいう。
三句「千々の色に」は字余りで、さまざまな色にの意である。
四句「移ろふ秋は」は、色が移り変わってゆく秋はの意である。前歌の第二百九十四首の菊の「移ろひ」に続き、本歌では紅葉の移ろいを詠み、本歌から紅葉の歌が続く。
結句「時雨降りけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、紅葉を染める時雨が降っていたのだと結ぶ。
さほやま:大和国(今の奈良市)の山
ははそ:コナラなどの総称。紅葉が美しい
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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ませの内に夜置く露やいかならむ 濡れつつ菊の移ろひにける
- 次の歌
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暮れてゆく秋の湊に浮かぶ木の葉 海人の釣りする舟かとも見ゆ