神無月待たで時雨や降りにけむ
深山に深き紅葉しにけり
- 歌の意味
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神無月を待たずに、時雨がもう降ったのだろうか。奥深い山では、深く紅葉してしまったことだ。
- 鑑賞
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秋歌 297
詞書「深山紅葉」
本来なら初冬の神無月に降る時雨が、それを待たずにもう降ったのだろうか、奥深い山ではすっかり深く紅葉してしまったと詠んだ歌である。里よりも早く色づく深山の紅葉に、季節の先走りを感じ取っている。
初句「神無月」は陰暦十月で、冬の初めの月である。
二句「待たで時雨や」の「で」は打ち消しの接続助詞で、待たずにの意となり、「や」は疑問の係助詞である。
三句「降りにけむ」は「や」の結びで、過去推量の「けむ」の連体形で結び、ここで句切れとなる。時雨が木の葉を染めるという考え方により、本巻の第二百九十五首の「時雨降りけり」を受けている。
四句「深山に深き」は、奥深い山に深くの意で、「深山」と「深き」とを重ねて色の深さを強める。
結句「紅葉しにけり」は、紅葉してしまったの意で、「けり」は気づきの詠嘆である。次歌の第二百九十八首から「色づきにけり」の結句が続き、紅葉の深まりが詠み継がれている。
かみなづき:陰暦十月。初冬の月
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
みやま:奥深い山
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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暮れてゆく秋の湊に浮かぶ木の葉 海人の釣りする舟かとも見ゆ
- 次の歌
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初雁の羽風の寒くなるままに 佐保の山辺は色づきにけり