- 歌の意味
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雁が鳴いて、寒い夜明けの露霜によって、矢野の神山はすっかり色づいたことだ。
- 鑑賞
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秋歌 302
詞書は前の歌に続き「秋の末によめる」
雁が鳴き、寒い夜明けに置く露霜によって、矢野の神山がすっかり色づいたと詠んだ歌である。万葉の歌枕である矢野の神山を、技巧を交えずにそのまま詠み込み、晩秋の山の色づきを力強く描いている。
この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。賀茂真淵はこの歌に二つの合点を付し、『万葉集』の「妻隠る矢野の神山露霜ににほひそめたり散らまくも惜し」などの心と言葉によりながら、矢野の神山をこともなげに取り出したところに作者の器量が見え、名所を詠むのに縁語などの小さなことばかりを思うのは未熟であり、古人はその所に向かってただ名をいうのみで、この歌がただちに矢野の神山を取り出したのは雄々しいと評している。
初句「雁鳴きて」は、前歌の第三百一首と同じ初句である。
二句「寒き朝明の」は、寒い夜明けのの意である。
三句「露霜に」は、露が凍って霜のようになったものにの意で、本巻の第二百四十首、第二百五十六首にも詠まれた語である。
四句「矢野の神山」は、『万葉集』に詠まれた歌枕で、所在は諸説ある。
結句「色づきにけり」は前歌と同じ結句で、本巻の第二百九十八首から続いた「色づきにけり」の四首を、本歌で締めくくっている。
あさけ:夜明け、明け方
つゆじも:露が凍って霜のようになったもの
やののかみやま:『万葉集』に詠まれた山。所在は未詳
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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雁鳴きて吹く風寒み高円の 野辺の浅茅は色づきにけり
- 次の歌
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はかなくて暮れぬと思ふをおのづから 有明の月に秋ぞ残れる