はかなくて暮れぬと思ふをおのづから
有明の月に秋ぞ残れる
- 歌の意味
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あっけなく秋は暮れてしまったと思っていたのに、思いがけず、有明の月にまだ秋が残っていることだ。
- 鑑賞
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秋歌 303
詞書は前の歌に続き「秋の末によめる」
はかなく秋は暮れてしまったと思っていたのに、ふと見上げると、夜明けの空に残る有明の月に、まだ秋の名残がとどまっていると詠んだ歌である。過ぎ去ろうとする秋への惜別の思いと、わずかに残る秋を見いだした喜びとが込められている。
類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収める。
初句「はかなくて」は、あっけなく、むなしくの意である。
二句「暮れぬと思ふを」の「ぬ」は完了の助動詞、「を」は逆接の接続助詞で、秋が暮れてしまったと思うのにの意となる。
三句「おのづから」は字余りで、ここでは思いがけず、偶然にの意である。本巻の第百八十九首の「おのづから」が自然に巡る秋の訪れを詠んだのに対し、本歌では思いがけず残る秋を詠む。
四句「有明の月に」は字余りで、夜明けの空に残る月をいう。
結句「秋ぞ残れる」は、係助詞「ぞ」を受けて存続の「り」の連体形「る」で結ぶ。前の二首で野山が色づいた晩秋の、なお残る秋の名残を有明の月に見いだしている。
ありあけ:夜が明けても空に月が残っていること、またその月
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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雁鳴きて寒き朝明の露霜に 矢野の神山色づきにけり
- 次の歌
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長月の有明の月の尽きずのみ 来る秋ごとに惜しき今日かな