虫の音もほのかになりぬ花薄
秋のすゑ葉に霜や置くらむ
- 歌の意味
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虫の音もかすかになってしまった。花すすきの、秋の終わりの葉先に、霜が置いているのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 306
詞書「九月霜降秋早寒といふ心を」
「九月霜降りて秋早く寒し」という題で詠んだ歌である。虫の声もかすかになったことから、秋の終わりの花すすきの葉先に霜が置いているのだろうかと推し量り、寒さの早く訪れた晩秋を描いている。
この歌は『続古今和歌集』に入集している。
初句「虫の音も」は、虫の鳴き声もの意である。本巻の第二百四十八首からの虫の歌々で盛んに鳴いていた虫が、本歌では声をひそめている。
二句「ほのかになりぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、かすかになってしまったと言い切り、ここで句切れとなる。
三句「花薄」は、穂の出たすすきをいう。本巻の第二百十三首で穂を出していた花薄が、本歌では秋の終わりの霜に置かれる姿で詠まれている。
四句「秋のすゑ葉に」の「すゑ」は、秋の末の意と、葉の先である末葉の意を掛けた掛詞である。
結句「霜や置くらむ」の「や」は疑問の係助詞で、現在推量の「らむ」の連体形で結び、題の「霜降」を表す。
はなすすき:穂の出たすすき
すゑば:草木の葉の先。秋の末の意を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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年ごとに秋の別れはあまたあれど 今日の暮るるぞわびしかりける
- 次の歌
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秋深みすそ野の真葛かれがれに うらむる風の音のみぞする