秋深みすそ野の真葛かれがれに
うらむる風の音のみぞする
- 歌の意味
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秋が深まったので、山裾の野の葛は枯れ枯れになり、葉を裏返して恨むような風の音ばかりがしている。
- 鑑賞
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秋歌 307
詞書「暮秋の歌」
秋が深まり、山裾の野の葛が枯れ枯れになって、その葉を裏返して吹く風の音が、恨みを訴えるように聞こえるばかりだと詠んだ歌である。枯れゆく葛と風の音に、人の訪れも途絶えた寂しさを重ね、暮れゆく秋の荒涼とした情景を描いている。
類従本ではこの歌を恋部に収め、詞書を「恋の心をよめる」とする。葛の葉が風に裏返ることから「裏見」に「恨み」を掛ける趣向は、『古今和歌集』の平貞文の「秋風の吹き裏返す葛の葉のうらみてもなほうらめしきかな」などに見える。
初句「秋深み」は、秋が深まったのでの意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
二句「すそ野の真葛」は、山裾の野に生える葛をいい、「真」は美称の接頭語である。本巻の第二百十八首、第二百十九首の葛の葉が、本歌では枯れ枯れの姿で詠まれている。
三句「かれがれに」は、葛が枯れ枯れになる意と、人の訪れが途絶えがちになる意を掛けた掛詞である。
四句「うらむる風の」の「うらむる」は、葛の葉の裏を見せる意と恨む意を掛けた掛詞である。
結句「音のみぞする」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「する」で結び、風の音ばかりがするの意となる。本歌から第三百十首までの四首が暮秋を詠み、秋部の終わりへと向かう。
まくず:葛。「ま」は美称の接頭語
かれがれ:葛が枯れ枯れになる意と、人の訪れが途絶えがちになる意を掛ける
うらむ:葛の葉の裏を見せる意と、恨む意を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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虫の音もほのかになりぬ花薄 秋のすゑ葉に霜や置くらむ
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秋萩の下葉の紅葉うつろひぬ 長月の夜の風の寒さに