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紅葉葉は道もなきまで散り敷きぬ
わが宿を訪ふ人しなければ

歌の意味
紅葉した葉は、道も見えないほどに散り敷いてしまった。わが家を訪ねてくる人もいないので。
鑑賞
秋歌 309

詞書は前の歌に続き「暮秋の歌」
 紅葉した葉が道も見えなくなるほどに散り敷いてしまった、わが家を訪ねてくる人もいないのでと詠んだ歌である。誰にも踏まれることなく積もる落葉に、訪れる人のない住まいの寂しさを重ねている。
 底本の注記によれば、原本では三句を「散りしき」とし、校訂者が類従本によって「散りしきぬ」と改めたもので、ここではその改訂に従う。

 初句「紅葉葉は」は、紅葉した木の葉はの意である。
 二句「道もなきまで」は、道もなくなるほどにの意である。
 三句「散り敷きぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、散って一面に敷きつめてしまったと言い切り、ここで句切れとなる。本巻の第二百九十六首の水に浮かぶ木の葉に続き、本歌では地に散り敷く紅葉を詠む。
 四句「わが宿を訪ふ」は、自分の家を訪ねるの意である。
 結句「人しなければ」の「し」は強意の副助詞で、「ば」は已然形に付いて原因を表し、倒置によって道が埋もれた理由を最後に示す。本巻の第二百五十首の「人だに訪はぬ故郷」と同じく、人の訪れの絶えた宿の寂しさを詠んでいる。

もみぢば:紅葉した木の葉
ちりしく:散って一面に敷きつめる
とふ:訪ねる、訪れる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
秋萩の下葉の紅葉うつろひぬ 長月の夜の風の寒さに
次の歌
木の葉散る秋の山辺は憂かりけり 堪へでや鹿のひとり鳴くらむ