木の葉散る秋の山辺は憂かりけり
堪へでや鹿のひとり鳴くらむ
- 歌の意味
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木の葉の散る秋の山辺はつらいものだ。それに耐えきれずに、鹿はひとりで鳴いているのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 310
詞書は前の歌に続き「暮秋の歌」
木の葉が散る晩秋の山辺はつらいものであり、そのつらさに耐えきれずに、鹿がひとりで鳴いているのだろうかと詠んだ歌である。散る木の葉と鹿の声とを重ね、暮れゆく秋の山の寂寥を描いている。
なお参照した底本の本文では三句の頭に欠字があり、定家所伝本の「うかりけり」によって補った。
初句「木の葉散る」は、木の葉が散るの意で、前歌の第三百九首の散り敷く紅葉を受けている。
二句「秋の山辺は」は、秋の山のあたりはの意である。
三句「憂かりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、つらいものだと言い切り、ここで句切れとなる。
四句「堪へでや鹿の」の「で」は打ち消しの接続助詞で、耐えきれずにの意となり、「や」は疑問の係助詞である。
結句「ひとり鳴くらむ」は「や」の結びで、現在推量の「らむ」の連体形で結ぶ。本巻の第二百三十九首の「ひとり鳴く鹿」と同じく、ひとり鳴く鹿を詠み、鹿の一連で妻を恋うた鹿が、秋の終わりにはつらさに耐えかねてひとり鳴いている。
やまべ:山のあたり、山のほとり
たふ:こらえる、我慢する
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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紅葉葉は道もなきまで散り敷きぬ わが宿を訪ふ人しなければ
- 次の歌
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初瀬山今日を限りと眺めつつ 入相の鐘に秋ぞ暮れぬる