秋は去ぬ風に木の葉は散り果てて
山寂しかる冬は来にけり
- 歌の意味
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秋は去ってしまった。風に木の葉はすっかり散り果てて、山の寂しく見える冬がやって来たことだ。
- 鑑賞
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冬歌 312
詞書「十月一日よめる」
陰暦十月一日、暦の上で冬を迎えた日に詠んだ歌である。秋は去り、風に吹かれて木の葉がすっかり散り、山が寂しく見える冬がやって来たと、季節の移り変わりをそのまま詠んでいる。源実朝の家集『金槐和歌集』冬部の巻頭を飾る一首である。
この歌は『続古今和歌集』に入集している。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「秋は去ぬ」は、秋は去ってしまったの意で、「去ぬ」は行ってしまう意の動詞の終止形である。ここで句切れとなる。巻第三の巻末の第三百十一首が「秋ぞ暮れぬる」と秋の終わりを告げたのを受け、冬部の巻頭で秋が去ったことを言い切っている。
二句「風に木の葉は」は、風に吹かれて木の葉が散ることをいう。
三句「散り果てて」は、すっかり散ってしまっての意である。
四句「山寂しかる」は、木の葉が落ちて山が寂しい姿になったことをいう。
結句「冬は来にけり」の「けり」は詠嘆で、冬がやって来たことに気づいた感動を表す。次歌の第三百十三首から第三百十六首まで同じ結句が続き、巻頭に冬の訪れを詠む歌が五首並んでいる。本巻巻末の第四百六首が「行く年」の行方を問うて結ぶのに対し、巻頭の本歌は「秋は去ぬ」と季節の去るところから始まり、去りゆくものが巻頭と巻末で呼応している。
いぬ:去る、行ってしまう
ちりはつ:すっかり散ってしまう
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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初瀬山今日を限りと眺めつつ 入相の鐘に秋ぞ暮れぬる
- 次の歌
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木の葉散り秋も暮れにし片岡の 寂しき森に冬は来にけり