夕月夜沢辺に立てるあしたづの
鳴く音悲しき冬は来にけり
- 歌の意味
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夕月の出ている夜、沢のほとりに立っている鶴の鳴く声が悲しく聞こえる冬がやって来たことだ。
- 鑑賞
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冬歌 314
詞書は前の歌に続き「初冬の歌の中に」
夕月の出た夜、沢辺に立つ鶴の鳴く声が悲しく聞こえる冬がやって来たと詠んだ歌である。冬の訪れを、目に見える景色ではなく鶴の声の悲しさという耳から捉えている。
類従本ではこの歌を「一本及印本所載歌」の部に収め、結句を「冬ぞ来にける」とする。底本の注記によれば原本でも結句を「冬ぞ来にけり」とするが、ここでは底本の本文に従う。
初句「夕月夜」は、夕方に出ている月、またその月の出ている夜をいう。本巻の第三百五十一首、第三百五十三首も同じ初句で始まる。
二句「沢辺に立てる」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、沢のほとりに立っているの意である。
三句「あしたづの」は、葦辺にいる鶴をいう歌語である。
四句「鳴く音悲しき」は、鶴の鳴く声が悲しく聞こえることをいう。
結句「冬は来にけり」は前の二首と同じ結句で、冬の訪れの一連の三首目にあたる。
ゆふづくよ:夕方に出ている月、またその月の出ている夜
さはべ:沢のほとり
あしたづ:鶴の歌語。葦辺にいることからいう
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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木の葉散り秋も暮れにし片岡の 寂しき森に冬は来にけり
- 次の歌
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散り積もる木の葉朽ちにし谷水も 氷に閉づる冬は来にけり