散り積もる木の葉朽ちにし谷水も
氷に閉づる冬は来にけり
- 歌の意味
-
散り積もった木の葉が朽ちてしまった谷の水までも、氷に閉ざされる冬がやって来たことだ。
- 鑑賞
-
冬歌 315
詞書は前の歌に続き「初冬の歌の中に」
散り積もった木の葉が朽ちてしまった谷の水までもが、氷に閉ざされる冬がやって来たと詠んだ歌である。前の歌々が木の葉の散るさまを詠んだのに対し、本歌では散った葉が朽ち、さらに水が凍るところまで季節が進んでいる。
類従本では四句を「氷りて閉づる」とするが、ここでは底本の本文に従う。
初句「散り積もる」は、散って積もったの意で、木の葉にかかる。
二句「木の葉朽ちにし」は、木の葉が朽ちてしまったの意で、本巻の第三百十二首、第三百十三首の「木の葉」の散るさまをさらに進めている。
三句「谷水も」は、谷を流れる水をいい、「も」は木の葉ばかりか谷水までもの意を添える。
四句「氷に閉づる」は、氷に閉ざされるの意である。本巻の第三百三十七首の二句にも同じ句がある。
結句「冬は来にけり」は巻頭から続く同じ結句で、一連の四首目にあたる。
たにみづ:谷を流れる水
とづ:閉ざす、ふさぐ
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
夕月夜沢辺に立てるあしたづの 鳴く音悲しき冬は来にけり
- 次の歌
-
春と言ひ夏と過ぐして秋風の ふきあげの浜に冬は来にけり