春と言ひ夏と過ぐして秋風の
ふきあげの浜に冬は来にけり
- 歌の意味
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春だと言い、夏だと言って過ごしてきて、秋風の吹き上げる吹上の浜に、冬がやって来たことだ。
- 鑑賞
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冬歌 316
詞書は前の歌に続き「初冬の歌の中に」
春と言い夏と言って過ごしてきたうちに、秋風の吹き上げる吹上の浜に冬がやって来たと詠んだ歌である。春、夏、秋、冬の四季の移り変わりを一首の中に順に詠み込み、一年の歩みを振り返っている。
類従本ではこの歌を雑部に収める。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。吹上の浜は紀伊国の歌枕である。
初句「春と言ひ」は、春だと言っての意で、二句と対になって季節を数え上げる。
二句「夏と過ぐして」は、夏だと言って過ごしての意である。
三句「秋風の」は、秋風が吹き上げるの意で四句の「ふきあげ」へ続く。春、夏、秋と季節の語が順に並び、結句の冬へと至る。
四句「ふきあげの浜に」は字余りで、「ふきあげ」は秋風が吹き上げる意と、紀伊国の歌枕である吹上の浜を掛けた掛詞である。本巻の第三百五十七首にも吹上が詠まれる。
結句「冬は来にけり」は巻頭から続く同じ結句で、一連の五首目にあたる。四季を数え上げて冬に至る本歌で、冬の訪れを詠む巻頭の一連が締めくくられる。
すぐす:過ごす
ふきあげ:秋風が吹き上げる意と、紀伊国(今の和歌山市)の歌枕である吹上の浜を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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散り積もる木の葉朽ちにし谷水も 氷に閉づる冬は来にけり
- 次の歌
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吉野川紅葉葉流る滝の上の 御船の山に嵐吹くらし