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神無月時雨降ればか奈良山の
楢の葉柏風にうつろふ

歌の意味
神無月に時雨が降ったからだろうか、奈良山の楢の葉は、風に吹かれて色あせ散っていく。
鑑賞
冬歌 320

詞書は前の歌に続き「初冬の歌の中に」
 神無月に時雨が降ったせいだろうか、奈良山の楢の葉が風に吹かれて色あせ散っていくと詠んだ歌である。「奈良山」と「楢」の同じ音を重ね、調子よく詠み下している。
 定家所伝本では結句を「かてにうつろふ」とするが、底本の校訂者はこれを誤りであろうとしている。

 初句「神無月」は前歌の三句と同じ語で、次歌の初句にも続く。
 二句「時雨降ればか」は、時雨が降ったからであろうかの意で、「か」は疑問の係助詞で結句で結ぶ。
 三句「奈良山の」は、大和国と山城国の境にある丘陵をいう。
 四句「楢の葉柏」は、楢の広い葉をいう。三句の「奈良」と同じ音を重ねている。
 結句「風にうつろふ」は、「か」を受けて連体形で結び、葉が色あせて散っていくさまを示す。

ならやま:大和国と山城国の境にある丘陵。奈良の北にある
はがしは:楢や柏などの広い木の葉
うつろふ:色が変わる、色あせて散る
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
三室山紅葉散るらし神無月 竜田の川に錦織りかく
次の歌
神無月時雨降るらし奥山は 外山の紅葉今盛りなり