烏羽玉の妹が黒髪うちなびき
冬深き夜に霜ぞ置きける
- 歌の意味
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いとしい人の黒髪がなびき広がっている。冬の深い夜に、霜が置いたことだ。
- 鑑賞
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冬歌 330
詞書「深夜霜」
深夜の霜という題で詠んだ歌である。いとしい人の黒髪がなびき広がる冬の夜更けに、霜が置いたと詠む。黒髪の黒と霜の白を対比させ、冬の夜の深さと冷たさを表している。
『万葉集』の磐姫皇后の歌に、なびく黒髪に霜が置くまで君を待とうと詠んだものがあり、黒髪と霜の取り合わせはこれにさかのぼる。類従本では詞書を「ふかき夜の霜」とし、定家所伝本では結句を「霜ぞ置きにける」とする。賀茂真淵は三句の「うちなびき」について、長く延び伏した意に用いるのは後世のことで、『万葉集』の「打なびく」「打なびき」はいずれもその意ではないとして、この語をよくないと評している。
初句「烏羽玉の」は、「黒」にかかる枕詞である。
二句「妹が黒髪」は、いとしい女性の黒髪をいう。
三句「うちなびき」は、黒髪がなびき伏しているさまをいう。賀茂真淵がこの用い方を批判した句である。
四句「冬深き夜に」は、冬の夜更けにの意である。
結句「霜ぞ置きける」は、係助詞「ぞ」を受けて過去の助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ。黒髪の黒に霜の白が置かれる対比で一首を結んでいる。
ぬばたまの:「黒」「夜」などにかかる枕詞
いも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
うちなびく:なびき伏す
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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花すすき枯れたる野辺に置く霜の むすぼほれつつ冬は来にけり
- 次の歌
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夜を寒み川瀬に浮かぶ水の泡の 消えあへぬ程に氷しにけり