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音羽山山おろし吹く逢坂の
関の小川は氷しにけり

歌の意味
音羽山から山おろしが吹きおろす逢坂の関の小川は、凍ってしまった。
鑑賞
冬歌 335

詞書は前の歌に続き「冬の夜」
 音羽山から吹きおろす山おろしの風によって、逢坂の関を流れる小川が凍ってしまったと詠んだ歌である。音羽山、逢坂の関という近江の歌枕を連ね、冷たい風が小川を凍らせる冬の景を描いている。
 類従本では詞書を「氷をよめる」とする。底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では二句を「山おろし吹きて」とし、類従本では四句を「関の小川に」とし、原本と類従本の注、定家所伝本では結句を「こほりわたれり」とする。ここでは底本の本文に従う。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。

 初句「音羽山」は、山城国と近江国の境にある山で、歌枕である。
 二句「山おろし吹く」は、山から吹きおろす風が吹くの意である。初句の「山」と「山おろし」の「山」が重なっている。
 三句「逢坂の」は、山城国と近江国の境にあった逢坂の関をいう。
 四句「関の小川は」は、逢坂の関のあたりを流れる小川をいう。
 結句「氷しにけり」は、前歌と同じ結句で、本巻の第三百三十一首から凍る景が続いている。

やまおろし:山から吹きおろす風
あふさかのせき:山城国と近江国の境にあった関。歌枕
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
葦の葉は沢辺もさやに置く霜の 寒き夜な夜な氷しにけり
次の歌
冬深き氷やいたく閉ぢつらむ 影こそ見えね山の井の水