冬深き氷やいたく閉ぢつらむ
影こそ見えね山の井の水
- 歌の意味
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冬が深まり、氷がすっかり閉ざしてしまったのだろうか。影さえ映って見えない、山の井の水は。
- 鑑賞
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冬歌 336
詞書は前の歌に続き「冬の夜」
冬が深まって、山の井の水面を氷がすっかり閉ざしてしまったのだろうか、のぞいても影が映って見えないと詠んだ歌である。澄んだ水に影を映す山の井が、冬には氷に覆われて何も映さなくなったことに、冬の深まりを見ている。
『万葉集』に、影さえ見える浅い山の井を詠んだ歌があり、山の井は影を映すものとして詠まれてきた。本歌は影が見えないと詠んで、それを冬の景に転じている。類従本では初句を「冬ふかみ」とし、定家所伝本では三句を「閉ぢつらし」とする。
初句「冬深き」は、冬が深まったの意である。次歌の第三百三十七首は「冬ふかみ」、第三百三十八首は三句に「冬深き」とあり、三首が冬の深まりを詠み継いでいる。
二句「氷やいたく」の「や」は疑問の係助詞で、三句で結ぶ。「いたく」は、ひどく、すっかりの意である。
三句「閉ぢつらむ」は、「や」を受けて現在推量の「らむ」の連体形で結び、ここで句切れとなる。
四句「影こそ見えね」は、「こそ」を受けて打消の助動詞「ず」の已然形「ね」で結び、影が見えないのにの意で結句へ続く。本巻の第三百三十八首の四句も同じ句である。
結句「山の井の水」は体言止めで、影を映さなくなった水を最後に示す倒置の構成である。
やまのゐ:山中の湧き水をたたえた浅い泉
とづ:閉ざす、ふさぐ
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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音羽山山おろし吹く逢坂の 関の小川は氷しにけり
- 次の歌
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冬深み氷に閉づる山川の 汲む人なしと年や暮れなむ