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比良の山山風寒み唐崎の
鳰の湖月ぞ凍れる

歌の意味
比良の山から吹く山風が寒いので、唐崎の琵琶湖では、水に映る月までもが凍っている。
鑑賞
冬歌 340

詞書「湖上冬月」
 湖の上の冬の月という題で詠んだ歌である。比良の山から吹きおろす山風が寒いので、唐崎の琵琶湖に映る月までもが凍っていると詠む。湖面の氷に映る月の光を、月そのものが凍ったと捉えている。
 類従本では詞書を「湖上冬月といふことを」とし、二三句を「山風寒き唐崎や」とする。定家所伝本では三四句を「唐崎や鳰の湖に」とする。底本では結句の末に句点が付されているが、歌の本文ではないので除いた。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。

 初句「比良の山」は、近江国の琵琶湖の西岸にそびえる山で、歌枕である。
 二句「山風寒み」は、「…み」の形で原因を表し、山風が寒いのでの意となる。初句の「山」と二句の「山風」の「山」が重なっている。
 三句「唐崎の」は、近江国の琵琶湖西岸の地名で、歌枕である。
 四句「鳰の湖」は、琵琶湖の異称である。前歌の池の月に対し、本歌では湖の月を詠む。
 結句「月ぞ凍れる」は、係助詞「ぞ」を受けて存続の助動詞「り」の連体形「る」で結び、月までも凍っていると言い切る。

ひらのやま:近江国(今の滋賀県)の琵琶湖西岸の山
からさき:近江国の琵琶湖西岸の地名。歌枕
にほのみづうみ:琵琶湖の異称
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
はらの池の葦間のつららしげければ 絶え絶え月の影は澄みけり
次の歌
千鳥鳴く佐保の川原の月清み 衣手寒し夜や更けぬらむ