夕月夜佐保の川風身にしみて
袖より過ぐる千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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夕月の出ている夜、佐保川の川風が身にしみて、袖のそばを通り過ぎていく千鳥の鳴く声が聞こえる。
- 鑑賞
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冬歌 351
詞書「千鳥」
千鳥という題で詠んだ歌である。夕月の出た夜、佐保川を吹く川風が身にしみるなか、袖のすぐそばを通り過ぎていく千鳥の鳴く声が聞こえると詠む。身にしみる冷たさと、すぐ近くを過ぎていく千鳥の声を重ねている。
類従本では詞書を「冬歌」とする。
初句「夕月夜」は、本巻の第三百十四首の初句と同じで、次々歌の第三百五十三首も同じ初句で始まる。
二句「佐保の川風」は、大和国の佐保川を吹く風をいう。本巻の第三百四十一首でも千鳥の鳴く佐保の川原が詠まれている。
三句「身にしみて」は、冷たさが身にしみてきての意である。
四句「袖より過ぐる」の「より」は経由する所を表し、袖のそばを通り過ぎていくの意である。
結句「千鳥鳴くなり」の「なり」は音によって推定する助動詞で、千鳥の鳴く声が聞こえることをいう。本巻の第三百五十四首、第三百五十七首も同じ結句で、千鳥の歌が続いていく。
さほ:大和国(今の奈良市)の地名。佐保川が流れる
ちどり:水辺にすむ小鳥。冬の夜に鳴く声が多く詠まれる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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笹の葉に霰さやぎてみ山辺の 嶺の木枯らししきりて吹きぬ
- 次の歌
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降り積もる雪踏む磯の浜千鳥 波にしをれて夜半に鳴くなり