夕月夜満つ潮合ひの潟を無み
波にしをれて鳴く千鳥かな
- 歌の意味
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夕月の出ている夜、潮の満ちてくる頃合いで干潟がなくなったので、波に濡れしおれて鳴いている千鳥であることよ。
- 鑑賞
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冬歌 353
詞書「海辺千鳥といふことを人々に数多仕うまつらせしついでに」
海辺の千鳥という題を人々に命じて数多く詠ませた折に、作者自身が詠んだ歌である。夕月の夜、潮が満ちてきて干潟がなくなったので、千鳥が波に濡れしおれて鳴いていると詠む。居場所を失った千鳥の姿をあわれんでいる。
『万葉集』の山部赤人の歌「若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る」の「潟を無み」を用い、潮が満ちて干潟を失った鳥という同じ趣向を、鶴から千鳥に移している。類従本では詞書を「海のほとりの千鳥……つかうまつりしついでに」とする。定家所伝本では四句を「涙しをれて」とする。
初句「夕月夜」は、本巻の第三百五十一首と同じ初句である。
二句「満つ潮合ひの」は、潮の満ちてくる頃合いのの意である。
三句「潟を無み」は、「…を…み」の形で原因を表し、干潟がないのでの意となる。赤人の歌と同じ句である。
四句「波にしをれて」は、前歌の四句と同じ句で、二首続けて波にしおれる千鳥を詠んでいる。
結句「鳴く千鳥かな」の「かな」は詠嘆で、千鳥へのあわれみを込めて結ぶ。
しほあひ:潮の満ち引きのころあい
かた:干潟
しをる:濡れてぐったりする、しおれる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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降り積もる雪踏む磯の浜千鳥 波にしをれて夜半に鳴くなり
- 次の歌
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夜を寒み浦の松風吹きすさび 虫明の波に千鳥鳴くなり