月清みさ夜更けゆけば伊勢島や
一志の浦に千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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月が清らかに澄んで夜が更けていくと、伊勢の海の一志の浦で、千鳥の鳴く声が聞こえる。
- 鑑賞
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冬歌 355
詞書は前の歌に続き「海辺千鳥といふことを人々に数多仕うまつらせしついでに」
前の二首と同じ折に詠んだ歌である。月が清らかに澄んで夜が更けていくと、伊勢の一志の浦に千鳥の鳴く声が聞こえてくると詠む。月の光と夜の更けゆく静けさの中に、遠く千鳥の声を聞いている。
この歌は『玉葉和歌集』に入集している。類従本では四句を「一志の浦の」とする。賀茂真淵はこの歌に二重の合点を付し、これほど整った歌があるだろうか、また世の人がよしとする技巧の節々をすべて捨て去っていると評している。
初句「月清み」は、「…み」の形で原因を表し、月が清らかなのでの意となる。本巻の第三百四十一首の三句と同じ語である。
二句「さ夜更けゆけば」は、夜が更けていくとの意である。次歌の二句「夜の更けゆけば」と同じ組み立てである。
三句「伊勢島や」は、伊勢の海辺一帯をいい、「や」は詠嘆の間投助詞である。
四句「一志の浦に」は、伊勢国一志郡の海辺をいう。
結句「千鳥鳴くなり」は、本巻の第三百五十一首、前歌と同じ結句で、次歌もこの結句で結ぶ。
いせしま:伊勢国と志摩国、またその辺りの海
いちしのうら:伊勢国一志郡(今の三重県津市付近)の海辺
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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夜を寒み浦の松風吹きすさび 虫明の波に千鳥鳴くなり
- 次の歌
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風寒み夜の更けゆけば妹が島 かたみの浦に千鳥鳴くなり