風寒み夜の更けゆけば妹が島
かたみの浦に千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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風が寒いので、夜が更けていくと、妹が島の形見の浦で、千鳥の鳴く声が聞こえる。
- 鑑賞
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冬歌 356
詞書「寒夜千鳥」
寒い夜の千鳥という題で詠んだ歌である。風が寒く夜が更けていくと、妹が島の形見の浦に千鳥の鳴く声が聞こえてくると詠む。「妹」「形見」という恋を思わせる地名を連ね、千鳥の声にもの寂しさを添えている。
この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。『万葉集』に「妹が島形見の浦」を詠んだ歌があり、その地名を用いている。賀茂真淵はこの歌に二重の合点を付している。
初句「風寒み」は、「…み」の形で原因を表し、風が寒いのでの意となる。前歌の初句「月清み」と同じ組み立てである。
二句「夜の更けゆけば」は、夜が更けていくとの意で、前歌の二句と同じ組み立てである。前歌と本歌は、上の句の形と結句をそろえた一対となっている。
三句「妹が島」は、紀伊国の島の名で、「妹」の語が恋しい人を思わせる。
四句「かたみの浦に」の「かたみ」は、地名の形見の浦と、思い出のよすがとなる形見を掛けた掛詞で、三句の「妹」と響き合う。
結句「千鳥鳴くなり」は前歌と同じ結句で、千鳥の歌の一連を結ぶ。
いもがしま:紀伊国の島の名
かたみ:地名の形見の浦と、思い出のよすがとなる形見を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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月清みさ夜更けゆけば伊勢島や 一志の浦に千鳥鳴くなり
- 次の歌
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衣手に浦の松風冴えわびて 吹上の月に千鳥鳴くなり