古典和歌stream

水鳥の鴨の浮き寝のうきながら
玉藻の床に幾夜経ぬらむ

歌の意味
水鳥の鴨が水に浮いたまま寝るように、つらい思いを抱えたまま、美しい藻の床で、幾夜を過ごしたのだろうか。
鑑賞
冬歌 358

詞書「水鳥」
 水鳥という題で詠んだ歌である。水に浮いたまま寝る鴨のように、つらい思いを抱えたまま、藻の床で幾夜を過ごしてきたのだろうかと詠む。鴨の浮き寝に、落ち着かずに夜を重ねる身のつらさを重ねている。
 類従本ではこの歌を雑部に収める。

 初句「水鳥の」は、水辺にすむ鳥の総称で、二句の鴨を導く。
 二句「鴨の浮き寝の」は、鴨が水に浮いたまま寝ることをいい、ここまでが三句の「うき」を導く序詞となっている。
 三句「うきながら」の「うき」は、水に浮く意と、つらい意の「憂き」を掛けた掛詞である。
 四句「玉藻の床に」は、美しい藻を寝床としての意である。
 結句「幾夜経ぬらむ」は、完了の助動詞「ぬ」と現在推量の「らむ」で、幾夜を過ごしてしまったのだろうかと推し量る。

うきね:水に浮いたまま寝ること。落ち着かない独り寝のたとえにも用いる
うき:水に浮く意と、つらい意の「憂き」を掛ける
たまも:藻の美称
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
衣手に浦の松風冴えわびて 吹上の月に千鳥鳴くなり
次の歌
難波潟潮干に立てる葦鶴の 羽白妙に雪ぞ降りつつ