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奥山の岩根に生ふる菅の根の
ころころに降れる白雪

歌の意味
奥山の岩に根を張って生える菅の根のように、こまやかに一面に降り積もった白雪よ。
鑑賞
冬歌 361

詞書は前の歌に続き「雪」
 奥山の大きな岩に根を張って生える菅の根のように、こまやかに一面に降り積もった白雪を詠んだ歌である。『万葉集』に見られる「菅の根の」から「ねもころ」を導く言い回しを踏まえ、古風な調べで深山の雪を描いている。
 賀茂真淵はこの歌に合点を付している。底本の本文は下の句が十二音で、四句が五音の字足らずとなっている。底本は三句の末の「の」に「も」と異文の傍記を付しているが、ここでは底本の本文に従う。

 初句「奥山の」は、人里から遠い奥深い山のの意である。
 二句「岩根に生ふる」は、大きな岩に根を張って生えるの意である。
 三句「菅の根の」は、菅の根のようにの意で、ここまでの上の句が四句を導く序詞の働きをしている。『万葉集』では「菅の根の」が「ねもころ」を導く言葉として用いられている。
 四句「ころころに」は五音の字足らずで、こまやかに、隙間なくの意と見られる。三句の「根の」と合わせて「ねもころ」の響きを持たせている。
 結句「降れる白雪」は体言止めで、存続の助動詞「り」の連体形「る」により、降り積もった雪を最後に示す。

いはね:大きな岩
すが:カヤツリグサ科の植物、スゲの古名
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
みさご居る磯辺に立てるむろの木の 枝もとををに雪ぞ積もれる
次の歌
夕さればすず吹く嵐身にしみて 吉野の嶽にみ雪降るらし