山里は冬こそことにわびしけれ
雪踏み分けて訪ふ人もなし
- 歌の意味
-
山里は、冬こそとりわけわびしいものだ。雪を踏み分けて訪ねてくる人もいない。
- 鑑賞
-
冬歌 373
詞書は前の歌に続き「雪」
山里は冬こそとりわけわびしく、雪を踏み分けて訪ねてくる人もいないと詠んだ歌である。雪に閉ざされて人の訪れが絶えた山里の寂しさを、平明な言葉で詠んでいる。
『古今和歌集』の源宗于の歌「山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草もかれぬと思へば」と初句を同じくし、冬の山里の寂しさという同じ主題を、雪に訪れの途絶えた形で詠んでいる。
初句「山里は」は、山の中の村里はの意である。
二句「冬こそことに」の「こそ」は係助詞で、三句で結ぶ。「ことに」は、とりわけの意である。
三句「わびしけれ」は、「こそ」を受けて已然形で結び、ここで句切れとなる。
四句「雪踏み分けて」は、積もった雪を踏み分けての意である。
結句「訪ふ人もなし」は、訪ねてくる人もいないの意である。次歌の結句も同じ「訪ふ人もなし」で、二首が雪に閉ざされた住まいの寂しさを詠む。
やまざと:山の中の村里
とふ:訪ねる
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
払へただ雪分け衣緯を薄み 積もれば寒し山嵐の風
- 次の歌
-
我が庵は吉野の奥の冬ごもり 雪降り積みて訪ふ人もなし