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我のみぞ悲しとは思ふ波のよる
山の額に雪の降れれば

歌の意味
わたしだけが悲しいと思うのだ。波の寄せる山の額に、雪が降っているので。
鑑賞
冬歌 376

詞書は前の歌に続き「雪」
 波の寄せる山の額、すなわち海に臨む山の頂のあたりに雪が降っているのを見て、自分ひとりが悲しいと思うと詠んだ歌である。人の額に寄るしわと白髪を思わせる言葉づかいから、老いの姿を重ねて読む見方もある。
 類従本ではこの歌を雑部に収める。

 初句「我のみぞ」の「ぞ」は係助詞で、二句で結ぶ。
 二句「悲しとは思ふ」は、「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結び、ここで句切れとなる。
 三句「波のよる」は、波が寄せるの意で、山のふもとに波の打ち寄せるさまをいう。
 四句「山の額に」の「額」は、山の頂のあたりを人の額にたとえた言い方である。
 結句「雪の降れれば」は、雪が降っているのでの意で、悲しく思う理由を最後に示す倒置の構成である。次歌、本巻の第三百八十首も同じ結句で結ぶ。

ひたひ:額。ここでは山の頂のあたりをいう
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
おのづから寂しくもあるか山深み 草の庵の雪の夕暮れ
次の歌
はし鷹の今日やしらふに変はるらむ とかへる山に雪の降れれば