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雪降りて今日とも知らぬ奥山に
炭焼く翁あはれはかなみ

歌の意味
雪が降って、今日が何日とも分からない奥山で、炭を焼いている老人よ。ああ、はかないことだ。
鑑賞
冬歌 389

詞書「炭竈」
 炭竈という題で詠んだ歌である。雪が降り積もって、今日が何日とも分からない奥山で炭を焼いている老人の暮らしを、ああ、はかないことだと詠む。世間から隔てられて日を数えることもない老人の姿に、しみじみとした思いを寄せている。
 類従本では詞書を「冬歌」とし、結句を「あはれはかなき」とする。ここでは底本の本文に従う。

 初句「雪降りて」は、雪が降っての意である。
 二句「今日とも知らぬ」は、今日が何日とも分からないの意で、日の移りも知らずに暮らすさまをいう。
 三句「奥山に」は、人里から遠い奥深い山にの意である。
 四句「炭焼く翁」は、炭を焼いている老人をいう。前歌の「炭を焼く人」を、本歌では老人の姿として描いている。
 結句「あはれはかなみ」は、ああ、はかないことよの意で、形容詞「はかなし」の語幹に「み」を付けて詠嘆を込めている。

おきな:年老いた男
すみがま:炭を焼くかま
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
炭を焼く人の心もあはれなり さてもこの世を過ぐるならひは
次の歌
炭がまの煙も寂し大原や ふりにし里の雪の夕暮れ