年ふれば寒き霜こそ冴えけらし
頭は山の雪ならなくに
- 歌の意味
-
年を重ねると、寒い霜がことのほか冷たく冴えるらしい。わたしの頭は、山の雪ではないのに。
- 鑑賞
-
冬歌 392
詞書「老人寒を厭ふといふ事を」
老人が寒さを嫌うという題で詠んだ歌である。年を重ねると寒い霜が身にしみて冷たく冴えるらしい、白くなったわたしの頭は山の雪ではないのにと詠む。白髪を霜や雪に見立て、老いの身にしみる寒さを機知を交えて詠んでいる。
類従本ではこの歌を雑部に収める。定家所伝本では二句を「寒き霜夜ぞ」とする。
初句「年ふれば」は、年を経るとの意で、老いを示す。
二句「寒き霜こそ」の「こそ」は係助詞で、三句で結ぶ。「霜」には白髪の意が重ねられている。
三句「冴えけらし」は、「こそ」を受けて「けらし」で結び、冷たく冴えるらしいと推し量る。ここで句切れとなる。
四句「頭は山の」は、白くなった自分の頭をいう。本巻の第四百二首でも白髪を「頭の雪」と詠んでいる。
結句「雪ならなくに」は、雪ではないのにの意で、白い頭を山の雪にたとえながら打ち消している。
かうべ:頭
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
身に積もる罪やいかなる罪ならむ 今日降る雪と共に消ななむ
- 次の歌
-
白髪と言ひ老いぬるけにや事しあれば 年の早くも思ほゆるかな