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白髪と言ひ老いぬるけにや事しあれば
年の早くも思ほゆるかな

歌の意味
白髪が生えたことといい、老いてしまったせいであろうか。何かにつけて、年の過ぎるのが早く思われることだ。
鑑賞
冬歌 393

詞書「老人憐歳暮」
 老人が年の暮れをあわれむという題で詠んだ歌である。白髪が生えたことといい、老いてしまったせいだろうか、何かにつけて年の過ぎるのが早く思われると詠む。老いとともに速まって感じられる時の流れを詠んでいる。
 底本の注記によれば、一本では初句を「白髪生ひ」とする。ここでは底本の本文に従う。また、この歌から四首は類従本では雑部に収める。

 初句「白髪と言ひ」は字余りで、白髪が生えたことといいの意である。
 二句「老いぬるけにや」の「け」は、ためやせいの意で、老いてしまったせいであろうかの意となる。
 三句「事しあれば」は字余りで、何か事があるとの意で、「し」は強めの助詞である。
 四句「年の早くも」は、年の過ぎるのが早くもの意である。
 結句「思ほゆるかな」の「かな」は詠嘆で、自然とそう思われることだと結ぶ。次歌も同じ結句で結ぶ。

け:ため、せい(故)
おもほゆ:自然に思われる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
年ふれば寒き霜こそ冴えけらし 頭は山の雪ならなくに
次の歌
老いぬれば年の暮れゆくたびごとに 我が身ひとつと思ほゆるかな