老いぬれば年の暮れゆくたびごとに
我が身ひとつと思ほゆるかな
- 歌の意味
-
老いてしまうと、年が暮れていくたびごとに、まるでわが身一つに訪れる暮れのように思われることだ。
- 鑑賞
-
冬歌 394
詞書は前の歌に続き「老人憐歳暮」
老いてしまうと、年が暮れていくたびに、それがまるで自分ひとりの身に訪れる暮れのように思われると詠んだ歌である。年の暮れは誰にも等しく来るのに、老いた身にはとりわけ身にしみることを詠んでいる。
『古今和歌集』の大江千里の歌「月見ればちぢにものこそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど」の「わが身ひとつ」を用いている。千里の歌が自分ひとりの秋ではないけれどと詠んだのに対し、本歌は自分ひとりの暮れのように思われると詠んでいる。
初句「老いぬれば」は、老いてしまうとの意である。
二句「年の暮れゆく」は、年が暮れていくの意である。
三句「たびごとに」は、そのたびごとにの意で、年ごとの暮れの重なりを示す。
四句「我が身ひとつと」は、自分ひとりの身のことのようにの意で、大江千里の歌の言葉を用いている。
結句「思ほゆるかな」は、前歌と同じ結句である。
おもほゆ:自然に思われる
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
白髪と言ひ老いぬるけにや事しあれば 年の早くも思ほゆるかな
- 次の歌
-
うち忘れはかなくてのみ過ぐし来ぬ あはれと思へ身にも積もる年