古典和歌stream

塵をだに据ゑじとや思ふ行く年の
跡なき庭を払ふ松風

歌の意味
塵さえも置くまいと思っているのだろうか。過ぎゆく年の跡もない庭を、払っている松風は。
鑑賞
冬歌 397

詞書「歳暮」
 年の暮れという題で詠んだ歌である。過ぎゆく年の跡も残らない庭を松風が吹き払っているのを見て、塵さえ置くまいと思っているのだろうかと詠む。年の暮れの掃き清められたような庭に、去りゆく年の跡の残らないことを重ねている。

 初句「塵をだに」の「だに」は、…さえの意である。
 二句「据ゑじとや思ふ」の「じ」は打消意志、「や」は疑問の係助詞で、連体形「思ふ」で結び、ここで句切れとなる。
 三句「行く年の」は、過ぎ去っていく年のの意である。次歌の三句も同じ「行く年の」で、本巻巻末の第四百六首の初句にも用いられる。
 四句「跡なき庭を」は、去りゆく年の跡も残らない庭をの意である。
 結句「払ふ松風」は体言止めで、庭を払う松風を最後に示す倒置の構成である。

すう:置く、据える
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
足引の山より奥に宿もがな 年の来まじき隠れ家にせむ
次の歌
とりもあへずはかなく暮れて行く年の しばしとどむる関守もがな