- 歌の意味
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春が深まったので、峰の嵐に散る花のように定めのない夜に、恋しい人を思い慕っていることだ。
- 鑑賞
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恋歌 407
詞書「恋の歌の中に」
春が深まり、峰に吹く嵐に散ってゆく花のように、定めのない夜に恋しい人を思い慕うと詠んだ歌である。散る花のはかなさを、行方の定まらない恋の心に重ねている。源実朝の家集『金槐和歌集』恋部の巻頭を飾る一首である。
底本は結句に「恋ひつつぞふる」と傍記し、類従本と定家所伝本では結句を「恋ひつつぞふる」とする。ここでは底本の本文に従う。
初句「春ふかみ」は、春が深いのでの意で、「み」は原因や理由を表す接尾語である。巻第四の巻末の第四百六首が冬の終わりを詠んで閉じたのを受け、恋部は再び春の景から始まっている。本巻巻末の第五百六十一首が秋の葦で忍ぶ恋を詠んで結ぶのに対し、巻頭の本歌は春の散る花で始まり、巻頭と巻末が季節の対をなしている。
二句「峰のあらしに」は、山の峰に激しく吹く風によっての意である。
三句「散る花の」は、散ってゆく桜の花のようにの意で、ここまでが四句の「定めなき」を導く序詞である。
四句「定めなき夜に」は、どうなるとも定まらない夜にの意で、散る花の行方の定まらなさと恋の不安とを重ねている。
結句「恋妻ぞする」の「ぞ」は係助詞で、「する」と連体形で結ぶ。恋しい人を思い慕うことを強めて言い切っている。
こひづま:恋しく思う妻、恋しい人
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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行く年の行方を問へば世の中の 人こそ一つ設くべらなれ
- 次の歌
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思ひのみ深きみ山の郭公 人こそ知らね音をのみぞ鳴く