- 歌の意味
- 夏の深い森の蝉の抜け殻のように、私だけがむなしい恋に身を砕いているのだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 412
詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
夏の深い森に残る蝉の抜け殻に、中身のないむなしさを見て、自分ひとりが実らない恋に身を砕いているのだろうかと詠んだ歌である。空蟬のうつろさと恋のむなしさとを重ねている。
初句「夏ふかき」は、夏の盛りが深いの意である。前歌までの茂る山の景を受け、夏の森へと移る。
二句「森の空蟬」は、森に残る蝉の抜け殻の意で、中身のないことから「むなしき」を導く。
三句「おのれのみ」は、自分だけがの意で、「のみ」は限定の副助詞である。
四句「むなしき恋に」は、報われない恋にの意で、空蟬のむなしさと重なる。
結句「身をくだくらむ」は、身を砕くほど思い悩んでいるのだろうかの意で、「らむ」は現在推量である。
うつせみ:蝉の抜け殻
くだく:心身を砕くほど思い悩む
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 山繁み木の下隠れ行く水の 音聞きしより我や忘るる
- 次の歌
- 我が宿の籬のはたてに這ふ瓜の なりもならずも二人寝なまし