木隠れて物を思へば空蟬の
羽に置く露の消えや返らむ
- 歌の意味
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木陰に隠れて物思いをしていると、蝉の羽に置く露のように、私は消え入ってしまうのではないだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 414
詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
人目を避けて木陰に隠れ、ひそかに物思いをしていると、蝉の羽に置くはかない露のように消え入ってしまいそうだと詠んだ歌である。薄い蝉の羽とそこに置く露に、忍ぶ恋のはかなさを託している。
初句「木がくれて」は、木の陰に隠れての意で、人目を忍ぶ恋を思わせる。
二句「物をおもへば」は、物思いをしているとの意で、恋に悩むことをいう。
三句「空蟬の」は、蝉のの意である。前々歌の第四百十二首の「空蟬」と同じ語で、そこでは抜け殻のむなしさを、ここでは羽の薄さを取り上げている。
四句「羽におく露の」は、蝉の羽に置く露のようにの意で、ここまでがはかなく「消え」ることを導く。
結句「消えやかへらむ」の「や」は疑問の係助詞で、「らむ」と連体形で結ぶ。「消えかへる」は、すっかり消え入るの意である。
こがくる:木の陰に隠れる
きえかへる:すっかり消え入る
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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我が宿の籬のはたてに這ふ瓜の なりもならずも二人寝なまし
- 次の歌
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鵲の羽に置く露の丸木橋 踏み見ぬ先に消えや渡らむ