秋の野の花の千草に物思ふ
露よりもしげき色は見えねど
- 歌の意味
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秋の野のさまざまな花に、物思いをしている。置く露よりもしげい思いの色は、表には見えないけれども。
- 鑑賞
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恋歌 422
詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
秋の野に咲く色とりどりの花を前に物思いにふける心を、花に置く露よりも多い思いでありながら、その色は外に見えないと詠んだ歌である。花の色と思いの色、露の多さと思いの多さとを対比している。
底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では四句を「露よりしげき」とする。ここでは底本の本文に従い、四句は字余りとなる。
初句「秋の野の」は、秋の野原のの意である。前歌の初句「秋の野に」とほぼ同じ句で、秋の野の歌が続く。
二句「花の千ぐさに」は、さまざまな種類の花にの意である。
三句「物おもふ」は、恋の物思いをするの意で、ここで句切れとなる。
四句「露よりもしげき」は、露よりも数多いの意で、字余りである。巻頭近くの第四百九首の「露よりも」「しげき」と同じ語を用いている。
結句「色は見えねど」は、思いの色は表に見えないけれどもの意で、「ど」は逆接である。色とりどりの花と、色に出ない思いとが対になっている。
ちぐさ:さまざまな種類
いろ:表に現れる様子、恋心のしるし
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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秋の野に置く白露の朝な朝な はかなくてのみ消えや返らむ
- 次の歌
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物思はぬ野辺の草木の葉にだにも 秋の夕べは露ぞ置きける